久しぶりに見つけてしまった。
アシナガバチが小さな巣を作り始めている。
軒下の、雨の当たりにくい暖かい場所。
でも洗濯物を干しに出入りする人間たちと、
いつかコンフリクトを起こしそうだなあ…。
じっと見つめていたらハチたちの動きが止まった。
あちらも出方をうかがっている。
父に言えば喜ぶだろう。
貴重な蜂の子。好物だから。
新しい女王蜂がなぜこの狭い場所を選んだか、
他に条件のいいところはいっぱいあるだろうに、
ハチの世界も新参は住宅難かしらん。
ぶんぶんという羽音の、
でもなにか違う、あやすような響き。
巣の中の子どもたちに風を送っている。
今は雨の季節だけれど、
長い夏の準備が、
確かに始まっている。
あちらでもこちらでも。