電気屋さんに寄った折に、ふと見つけて、
五嶋龍を聞いている。
素直で正確な音。
のびやかな響きに、
聞く者の心も息を吹き返す。
円熟、というものとは違うけれども、
若い演奏家のパワーは、
体にしみとおる清水のように純粋だ。
彼によるシンディング「プレスト」は、
寸分の狂いもない歌声をあげる。
バイオリニストになるために幼い頃から訓練された、
望んでも得られぬ真の英才教育とは、
まず若くしてこのように完成された存在になることをいうのだろう。
まだまだこれからたくさんの花を咲かせ、
実を結んでいくであろう次世代の演奏家。
おそらく、全て目撃することはできないけれども、
重なる時代に生まれた幸せを思う。