5ユーロで買った(つまりそれは本体価格4.2ユーロ、
現在日本円にして税込670円ほどの)ラバンジンの精油30ml。
プロバンスの土産物屋さんに無造作に置かれていた。
しゃばしゃばの、
きれいに分離できていない不透明で、
沈殿物も下に見えるような、
昔ながらのプロダクト。
どんな風に使うか考えていたが、
香料が何も添加されていない(つまりそれは、
そのままではかえって石けん臭がして、
使いづらいくらい純粋な)ボディ用液体石けんに、
たっぷり入れてみることにした。
石けんは一瞬で乳化し、
乳液のような、石けんのような、
ごくわずかに泡立つクリーム色の、
トロリとした液体が出来上がる。
梅雨の季節、
特に清潔に保ちたい顔や体に、
重曹や他の石けんと混ぜながら使っている。
おもいのほか快適で、
かなり抗菌効果があり、
ラバンジンの香りが濃厚に楽しめる。
こういう中間態の、
良い意味でいい加減なプロダクト、
なかなか日本には売っていない。
たとえば精油なら、
かなり夾雑物の混じる状態に留めず、
もっと精製しようとするだろう。
今の世の中、純粋にしていくことは、
なんであれ、商品価値を高めることでもある。
日本人、つとに究極好きでもあり。
でもその価値体系に影響されて、
なんだかわかんないけど総体としてこう、という、
自然の恵みを使いこなす生活の知恵まで細っては、
もったいないなと思う。
酢、みそ、醤油、梅干し、漬け物、出汁、お茶、山野草…
みんなそうだ。
それらのものを純粋にして機能成分だけ取り出し、
それで新たにプロダクトを成す、いまどきのハイテクもあれば、
昔ながらの総体を利用するローテクもあり、
つまりコストダウンには二つの道筋があるところがミソだ。
話を元に戻して。
日本で手に入らないかなあ。
とても気に入った。
安いところも、
夾雑物だらけのところも。
普段づかいにぴったりだ。
なにしろ「普段」というものが、
夾雑物の総体、
みたいなものですからね。