6月20日(火)獣の背に乗り

長くお茶をなさっている方と、
ふとしたことからスペインの布の話をする。

アンダルシア、カタルーニャ、ガリシア、バスク…。
いろんな言葉をしゃべる人々がいて、
いろんな文化の違いがある。
色彩感覚も違う。

布ならば、袱紗にできるものがよい、とおっしゃるので、
私の知っているカタルーニャの布はそういう用途に沿うかどうか、
わからないけれど、一見の価値はありましょうと答える。

素朴でパキッと明るいプリズムカラー。
でも取り合わせには、久谷に似た毒っ気があります。
と、申し上げると、すぐにああとうなずかれる。

そういえば金沢には、
なぜかステンドグラスのはまった古い建物が、
いくつかあるんですよ。
一度機会があれば、見てらっしゃるといい。

ふと思い出して、
そんなことを教えてくださる。

お茶。
焼き物。
ステンドグラス。
マルチカラーの布。
キリスト教。

カチリと組み合わさるものがある。

感覚が伝わって、
それのみが別の地で再生する。
媒体は、たとえば布からガラスに乗り移り。
かたしろの聖なる血は茶に置き換わり。

そうやって神出鬼没、
時空を超えて世界を飛び回っている「感覚」とは、
何者だろう。

感覚の背中に乗り、
一緒に飛べたらさぞや愉快と、
ひとしきり話に花が咲く。

麒麟のような、龍のような、
幻獣がチラとこちらを見ている。