心の扉

今日は、知人の美容師さんにお願いして、4月から放ったらかしだった母の髪をカットしてもらう。

随分と短く切り込んだ。
夏だし、襟足も短く・・・。
ジャニーズ風とさえ言える!(笑)

すると、母の機嫌がいい。
そうだったんだね、ずっとうっとうしかったんだ。
こういう時って、一番後回しになるのがおしゃれだったりするんだろうな。

似合うよ、と口々にスタッフの人や入院している患者さんに言われて、照れながらもうれしそうな母を見る。

軽やかになった母は、また1つ、出来ることが増えている。
もう駄々もあまりこねず、思ったことを伝える為に、単語をいくつか話したり、ボディランゲージも始めた。母は、外国人になったんだと思うことにした。

話す言葉は違うけど、伝えようとすればなんでも伝わる。
聞いてあげることが出来る。

私の中の、悲しい感情や、辛くても耐えていた感情が少しずつ目を覚まし、私を揺らしはじめた。

やっと人間らしさが私の中に戻ってきた。

母を置き去りにしたような罪悪感や、幼い子供を留守番させる時のような不安感。
色々な気持ちがないまぜになればなるほど、涙が出そうになる。
まだ泣くのは早いよ、と自分に言い聞かせながら、少しずつ心の扉を開き始めることにしよう。

この1ヵ月半、まったく泣かなかった自分を、少し甘やかそう。
でなければ、心が角質化してしまう。
何も感じなくなってしまう。

私から少しずつ手の離れる母も、こんな感じなのかもしれない。
処理できない感情と、ずっと向き合っているのかもしれない。
そんな母と、そんな私が向き合って、笑ってる。
そんな時間をもう一度持てることに感謝します。

もうしばらく、この平穏な時間を維持できますように、と心から願う。