6月15日(金)明かり求む

畑に何か立ち上がっているのが見える。
師匠にそうメールした。
雨はすごい。
超速で植物を育てる。

何度かふり返りながら出かける。
今日のうちにもまたいくらか伸びるかも。

夕食のときにいただいたワイン一杯が、
知らぬ間にとてもこたえている。
眠くて眠くて仕方がない。

もしかしたら、
何度も体を輪切りにされたことと、
関係あるかもしれない。
もっともそれは音波や磁場によるスキャンで、
まさか本当のスライスなわけはないけど。

ベッドで楽な姿勢を取り、
もう少し調べ物を続けるのに、
ベッドテーブルを照らすスポットライトが欲しくて、
枕元のスイッチを押す。
確かに手元は明るくなったが、
なにか違う。

手前に影ができるのだ。
光源を見ると光はこちらに向かっている。
スイッチの名前を読んで納得した。
「処置灯」という。

本当は横たわっている人に、
医師や看護師が処置を施すとき、
使われる光源、ということだろう。
患者の手元を照らす明かりではない。

目をつぶって、
まぶたの裏の赤を見た。

貫く明るさに、
南国の太陽のかけらがあった。