畑に何か立ち上がっているのが見える。
師匠にそうメールした。
雨はすごい。
超速で植物を育てる。
何度かふり返りながら出かける。
今日のうちにもまたいくらか伸びるかも。
夕食のときにいただいたワイン一杯が、
知らぬ間にとてもこたえている。
眠くて眠くて仕方がない。
もしかしたら、
何度も体を輪切りにされたことと、
関係あるかもしれない。
もっともそれは音波や磁場によるスキャンで、
まさか本当のスライスなわけはないけど。
ベッドで楽な姿勢を取り、
もう少し調べ物を続けるのに、
ベッドテーブルを照らすスポットライトが欲しくて、
枕元のスイッチを押す。
確かに手元は明るくなったが、
なにか違う。
手前に影ができるのだ。
光源を見ると光はこちらに向かっている。
スイッチの名前を読んで納得した。
「処置灯」という。
本当は横たわっている人に、
医師や看護師が処置を施すとき、
使われる光源、ということだろう。
患者の手元を照らす明かりではない。
目をつぶって、
まぶたの裏の赤を見た。
貫く明るさに、
南国の太陽のかけらがあった。