介護生活2日目

日曜、母のところに午後駆けつける。
タオルやたくさん必要な紙オムツを持って。
驚いたことに、すでに座位の体勢だった。
寝てばかりいると、筋肉が固くなるそうで、体位をよく変えることでそれを軽減しているのだ。

あまり変化は内容に見えるけれど、昨日に比べて、断然動きが早く、そして多くなってきている。
左目の焦点も合い始めているようで、明るい方向に目を向けることが多くなってきた。

私の手を握る力も強くなって、昨日は熱で熱かった手が、普通の体温に戻っている。
夜になると少し熱が出るのは相変わらずらしいが、37度代に落ち着いてきているそうで、昨日までたくさん枕元にあった氷枕が2つに減っていた。
とりあえず、昼は発熱していない・・・。
方向は良好なようだ。
なんと、介添つきで自分でスープなどを口に運べるようになっていますと担当の看護士から話を聞いた。

そんなことさせて大丈夫なのだろうか・・・と思うけど、ここではそのくらいは当たり前で、患者を決して甘やかさない方針が貫かれている。
その人の持つ能力が100か0という究極の状態なら、100でいて欲しいからそうするのだ。
プロに徹している人達は、優しいけれど、出来ることをサボることは決して許さない。
よほど高熱でない限り、その時出来ると判断したリハビリは、時間を短縮したり、付加を軽くするが、決してやめさせない。

これは、数日後顕著に母の体に現れ始める。

この、スープを口に運ぶと言う作業のために、色々な種類のスプーンが母のところに置かれていた。
注意深く観察しながら、
「もう少し柄が長いのとって」
「長すぎるかな、もう少し短いのにして」
「うーん、スプーンが深すぎるみたいね、もっと浅いのにしよう・・・」
と、今の母が持って食べやすくするための道具選びをしていた。

結果、2種類のスプーンが残り、他は片付けられた。

道具選びは、こういう生活をするためにも、大切なのだと言うことが分かった。
使いにくい道具は確かにストレスが溜まる・・・。
やりたくもない、辛いリハビリならなおのこと、少しでもそういう負担は減らさないと、続かないことをここのスタッフの人はプロだから分かっているのだ。

私は昨日の夜、母のために歯磨き剤をいつものようにつくり、手作り石鹸を持って行った。
今の私に出来るのはその程度のこと。
もっと手を貸してあげることが増えるくらい、はやく元気になって、お母さん。

大きな声で、「がんばって」と連呼する私。
みっともなくても構わないんだ。
それで少しでも良くなるなら。

そして今日は帰途に着く。

家に着くと仕事から帰った主人が行くと言うので、かえるや否や、病院にとんぼ返り。
またまたみっともなく、「がんばって!」
たくさんエールを送ろう、どれかひとつでもこの人に届くように。