6月12日(月)蔦の言うには

東にある明かり取りの小窓までツタが伸びてきたので、
少し遠慮してもらうことにする。
窓を開け、器用に貼り付いているツルをはがす。

ぺりぺりぺり。
不思議な音がする。
吸盤ではないのに、しっかりくっついて、
上へ上へと伸びる草。

ある程度はがしたら、
はさみで枝を取る。
オレンジ色の粒々が葉の間に揺れる。

作業を終えてしばらくして、
手のかゆみに気がつく。
少しかぶれたかな。

重曹と石けんでよく手を洗い、
ビネガーでリンスして、
うすくカモミール入りのスイートアーモンドオイルをつける。
かゆいスポットにラベンダーの精油を塗り、
そのまま乾かす。

ごく弱いかゆみは、
しばらく他のことに気を取られているうちに、
いつのまにか消えた。

ツタも花の季節を迎えている。
手折ったことへの、
小さなタメイキのようだった。

実はこのツタ、
蟻さんたちの空中回廊になっている。
天に伸びる巣穴のように、
ツルをつたってさかんに行き来。

 だからね。
 たぶん、じき再生するよ。
 そしてまた、
 飛べない虫を空に運ぶ。