東にある明かり取りの小窓までツタが伸びてきたので、
少し遠慮してもらうことにする。
窓を開け、器用に貼り付いているツルをはがす。
ぺりぺりぺり。
不思議な音がする。
吸盤ではないのに、しっかりくっついて、
上へ上へと伸びる草。
ある程度はがしたら、
はさみで枝を取る。
オレンジ色の粒々が葉の間に揺れる。
作業を終えてしばらくして、
手のかゆみに気がつく。
少しかぶれたかな。
重曹と石けんでよく手を洗い、
ビネガーでリンスして、
うすくカモミール入りのスイートアーモンドオイルをつける。
かゆいスポットにラベンダーの精油を塗り、
そのまま乾かす。
ごく弱いかゆみは、
しばらく他のことに気を取られているうちに、
いつのまにか消えた。
ツタも花の季節を迎えている。
手折ったことへの、
小さなタメイキのようだった。
実はこのツタ、
蟻さんたちの空中回廊になっている。
天に伸びる巣穴のように、
ツルをつたってさかんに行き来。
だからね。
たぶん、じき再生するよ。
そしてまた、
飛べない虫を空に運ぶ。