5月21日(日)晴れ、ときどきどしゃ降り

あまり安定しない雲行きだとは思っていたけれど、
街に出かけてしばらくすると、どしゃ降りになった。
カフェに逃げ込み、小やみになるとまた歩く。
それを繰り返すうち、いつか衣服全体が湿り、
少し寒く感じる。

それでも、無事に墓に参ることはできた。
共同墓地の入り口でバケツかじょうろを探していたら、
おばあさんが何か言いながら、
自分の持っていたじょうろを渡してくれる。
どうやら、水はあちこちに水栓があるから勝手に汲むのよ、
と教えてくれているらしい。ありがとうございます。

鉢植えの花を入れ替えに来た家族たち、
一人、石碑に話しかける年配の人。
世界のどこでも行われているであろう、
死者の眠る場所の、静かな光景だった。

いつまでも交互に晴れと雨がやってくる。
今日で靴はダメになったかもしれない、と覚悟する。
晴れ間に歩いているとしても、
これほど水たまりに足を突っ込み、ぬれてしまっては、
革が固くなってしまうだろう。
これまで道でないところをさんざん歩き回って、
ストラップも切れそうになっているし、
帰ったらメーカーに修理に出してみよう。
うまく甦るといいけどなあ……。

空港まで送っていただく約束の車が来たという。
カフェ・エクスプレスを飲み干し、街を後にする。

持ち帰るもの。
微熱。壊れた靴。日焼け。カルバドス。花の記憶。

置いて帰るもの。
墓前のチューリップ。また来る約束。板ワカメ。

けっこういいディール。かな。