5月10日(水)カタルニア近く

南部フランスにいる。
スペイン・カタルニア地方に近いせいか、標識や町の案内は、
仏語とスペイン語で書かれている……と思ったら、
スペイン語ではなく、カタルニア語なのだった。

カタルニア。
スペインのその土地に、
いつか行ってみたいと思うせいか、
近くに来ただけでちょっとドキドキ。

それにしても水が硬い。
重曹水を作ると、それだけでなにか浮遊物が見える。
石けんは日本の倍の量入れても泡立たない。
すすぎの水に触れたとたんにカスになる。
いったいどれほどの硬度なのだろう。

試しに少し口に入れてみると、苦い。
ひええ、にがり水を使って生活しているようなものか。
なるほど、ドラム式の発明はしごく道理で、
洗濯に水をなるべく使いたくないわけだ、とひどく納得。

郷にしたがって水の使用量を極力少なくし、
コットンの小物を洗濯してみる。
さきほど見た石けんカスの量からして、
ここではビネガーによるリンスが必須。
それも強いリンスをしなければ。

クエン酸をもっと持ってくればよかったと、
一日目にして思う。重曹も大事だけれど、
これほど水が硬いと、
ビネガー類のほうがもっと大事。

そういえば以前、
ベルギーの日本人会からメッセージをいただいたとき、
『魔法の粉ベーキングソーダ』よりも『魔法の液体ビネガー』のほうが、
生活の改善に役に立っています! とおっしゃっていたっけ。
あちらもきっとものすごく水が硬いに違いない。

家事において、私たちは、
汚れと戦っていると思っているけれど、
本当は違う。

ほとんどの鍵は、水だ。
水の中のミネラルをコントロールできれば、
汚れなどかわいいもの。
敵の数にも入らない。

そんなことをつぶやきながら、
夜中に、怪しげな手法で、
興味深げに洗い物をしている変な日本人、
なのでした。