動画関連打ち合わせ。
バックグラウンドに音楽を流すとしたら、という話になり、
とっさに曲は思いつかなかったものの、
ぜひ入れてほしい「音」にはすぐ思い当たった。
サラサラ、
寄せては返す波の音。
波打ち際の音。
北の海のザッパーンッ! っていうやつは、
それも確かに波打ち際だけれど、
さすがにBGMにはうるさすぎると思うので、
ハワイくらいの砂浜で、
ササササーッ、くらいのはどうでしょうか、
と、身振り手振り交えて伝える。
単にイメージで言っているのではなく、
波打ち際は象徴的なのです、と話す。
その音は、陸から流れ込む汚れに海が初めて出会い、
浄化のプロセスを開始する最前線に生まれる。
人の眠っているときの呼吸のリズムにもよく似ている。
海と呼吸。
実はどちらも、
重曹をキーワードにつながっている。
最もおだやかで、しかし、だからこそ、
この星とそこに住む生命にとって、
必須の基幹システム。
それがなければ、
一瞬たりとも定常を保てないほどの。
耳からも、無意識のうちに、
その二つがつながるといいな。
むずかしい理屈を、
全て理解して欲しいとは思っていない。
きっとどこまでいっても、
科学の言葉で理解できないこと、
というのはあるのだろうし。
まず、感覚でつながることができれば、
すごくステキなことだと思っている。
ある日、
それまでの知識が全部インテグレートされ、
海と自分の呼吸が同じであることを、
リアルセンスで悟った。
そのときの、
泣きたいような、うれしいような、
やっぱりそうだったのかという、
懐かしい家にやっと帰ったような感情は、
いつまでも忘れがたく、
今も心の中で、
キラキラと輝いている。
OK、ぜひ入れましょう。
その言葉を大事におし抱いて帰途につく。
フーッとついた大きな息が、
幻の砂浜に吸い込まれていく。
さて、音楽は何がいいかな。