3月23日(木)気は心

表参道および神楽坂で打ち合わせ。

表参道は、地下鉄の出口からヒルズに向かう道が、
次第に正月の参道のように人であふれてくるので、
このままではどこに行っても座れなくて悲惨かも、と、
逆方向に引き返す。うーむ、一年くらいしたら行きましょう。

神楽坂は、ちょっと小道を入った先にある、
しっとりとした小料理屋風のお店が、
ことごとく予約で満員。予約してもよかったが、
前は飛び込みで十分大丈夫だったところも、
事前ブッキングの客でもれなく埋まっている。

世の中、景気いいみたいですね。
本当に。
と、確かに肌で感じ、頷き合う。

そういえば、
家庭用ベーキングパウダーは、
それが売れなくなると景気がよくなるそうだ。
逆に、売れるようになると、そのあと決まって景気が悪くなる。
これまで幾度も好不況の波を経験してきたS部長の言だ。
同じパターンを3回くらい見ているという。

で、今は?
ハイ、今年の初めから急に売れなくなっていますよ。
うわー、やっぱり景気いいんだー!
思わず合点のあまり叫んでしまった。

しかし。

景気がよくなると、みんな家でケーキを焼かなくなる。
そんな単純なハナシでいいのか。

でも、総体的にそのパターンがはっきり見えるならば、
物事は、その通りなのだろう。もちろん個別には、
「景気がよくても私は断固ケーキを焼くわよ」という人がいるにしても。

統計や確率の言葉は、個人の希望や夢、欲望を、
ローラーで押し潰したようにおしなべる。
でもそうやって凸凹をならしたところに現れる一つの模様もまた、
とても正直だ。

最後に、敢えてもうひとつの仮説を提出。
今回、家庭用ベーキングパウダーが売れなくなっているのは、
ベーキングソーダと粉状の酸を自在に組み合わせて、
自家製ベーキングパウダーをスマートに作る人が増えたから。

S部長、枯れ木も山の賑わいじゃなかった、
何事も気は心というわけで、
ひとつこの説、どうでしょう。