3月12日(日)白木蓮

南にしては少し肌寒い日曜日。
白木蓮が満開だ。

見上げるうち、
時間がたっぷりあって、
日暮れ時まで犬と一緒に駆け回っていた幼い頃の、
とろっとした空気の流れを思い出した。

一日じっと地面を見つめてアリの巣穴を観察していた日。
庭の木の幹で、セミがカマキリに食べられるのを見ていた朝。
星座を観察して一晩中起きていた夏休みの夜。

あのころの時間の過ごし方は今、望むらくもないが、
あのころがあったから、今が凌げるのかもしれぬ。

所詮、人間はシングルタスクだ。
いちどきにひとつ事しかできない。
テーマの数は増えたけど、
幼い頃と同じように夢中になって、
今目の前のことに取り組むだけだ。

生まれたときから私を知っている木蓮の前で、
この一瞬、一休み。
深呼吸をしたら…
今週も走れ走れ走れ。
方向さえ間違えなければ、
あとはまっしぐらに。